叢雲「私のバレンタイン・デイ」

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:40:14.28 ID:vsxoik9eo
「沈みなさい!」

九三式水中聴音機、ソナーによってあたりを付けた位置に爆雷―――こちらは九四式―――を投下する。相乗効果を発揮した対潜攻撃は思った通りの成果を上げたようで、水底の敵の気配は沈黙した。おそらくは敵殲滅、S勝利評価である。

「どう考えても、暁の活躍が一番よね!」
「ハラショー」

静けさを取り戻した海の上を、一隻の駆逐艦娘がいささか危なげな足さばきで滑走して私の横に着けた。遅れてもう一隻、姉を庇う様に後ろから付いてくる艦娘の姿を確認する。ああ、この様子じゃ暁の方は小破しているわねなんてことを考えながら、私は答えた。

「まだ油断するのは早いわ、付近を警戒しながら帰投するわよ。」
「もう、叢雲は心配性なんだから」

下手に損害具合を指摘すると、へっちゃらだし、とか言いながら無理をしかねない。暁は特III型駆逐艦のネームシップだからか、空元気を張って無理をしてしまうことが多いのだ。

「さあ、陣形は複縦陣。暁と響が先頭、それともお子様には出来ないかしらね?」
「何よ、お子様呼ばわりしないでよね。暁だって先頭を努めるくらいできるんだから」
「ハラショー」

すぐムキになるところがお子様、何て思いつつもそれは口には出さない。暁と響が自分の持ち場に向かい始めた。二人共まだ幼いが、戦闘センスは目を見張るものがある。特に響は並みの駆逐艦にはない何かを感じさせる時があった。

「叢雲、暁と響の様子はどう?」
「暁小破、響は無傷よ」
「へえ、流石ね」

旗艦の夕張が声をかけてくる。最近開発したソナーと爆雷を搭載しまくっているため、彼女の足は遅い。そのため、私と夕張とで複縦陣の中央を形成して、全体の速度を調節していた。後ろの二人状態は夕張がチェックしていたため、聞いてみることにする。

「雷と電の調子はどうかしら?」
「二人共中破直前、でも航行に問題は無いわ。帰ったら即、入渠させないとだけどね」

「電、そんなんじゃ駄目よ。もっと速度を上げないと~!」
「はわわ、雷、置いていかないで欲しいのです」
スポンサーリンク
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:41:20.30 ID:vsxoik9eo
後ろの二人の微笑ましいやりとりを見ていると、夕張が呟いた。

「増えたわね、敵」

「うん」

ショートランド泊地は深海棲艦との戦いの最前線だ。普段から敵の数は多い。だけど。

「こんな近海まで潜水艦が出るなんて、今まで無かったわ」

「大本営の指示は正しかったようね」

近く、トラック泊地を深海棲艦が強襲してくる。トラック泊地と近隣のラバウル、リンガ、ショートランド泊地は共同してこれを迎撃後、反攻に転じるべし。

「全く、口で言うのは簡単なモノよね。結局通常任務はこれまで通り、加えて迎撃に使う資材なんかはほとんどこっち持ちじゃないの。大本営が聞いて呆れるわ」

「おーおー、初期艦かつ現役秘書艦さまが言うと重みが違いますなあ」

「なんですって!?」

夕張の茶化しに睨みを入れたものの、余裕で流された。彼女とは泊地の中でも仲が良い方で、こうした会話は日常茶飯事である。

「私はただ、資材のやりくりが大変だなあと思ってるだけよ、その目は何!?」

「心配してるのは資材じゃなくて、提督の方でしょう。しょ・き・か・ん・さ・ま?」

「・・・酸素魚雷を喰らわせるわよっ!」

今背負っているのが対潜装備なのが悔やまれる。
南方海域といえど海上は寒いはずなのに、カア、っと私は自分の顔が熱くなるのを感じる。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:43:02.48 ID:vsxoik9eo
「べ、別に初期艦だからとか、そんなの関係ないし。アイツの心配なんかこれっぽっちもしてないわ。私はただ資材が足りなくなって作戦が失敗したりしないか。それだけが心配なのよ、それだけだからね!?」

「はーい、デレ雲頂きました~!」

「デ、デレてないし!デレ雲なんて言ってるのアンタだけだからね!やめなさいよ!」

相変わらずこの手の話題になると分が悪い。昔からお互いを知っている夕張相手だと特にバレバレだ。
アイツの心配をしていることは嘘じゃない。本当のことなんだから。

「ちょっとお、叢雲、夕張。遅いじゃないの~!」

「ハラショー」

前方から暁、響の声が聞こえる。夕張とのお喋りのせいで速度が落ちていたらしい。

「あら、ごめんなさい。遅れた分を取り戻しましょう。雷、電も速度を上げるわよ!」

「分かったわ」

「なのです!」

元気の良い後ろの駆逐艦たちとは裏腹に、隣の相棒は青い顔をしている。

「え、ちょ、叢雲さん、私今日は装備ガンガン載せちゃって重いんだけど・・・」

「いつものことでしょう。データ取りたいなんて言って、余分なモノ載せる方が悪いわ。全艦、両舷全速。神速で泊地に帰投するわ!」

「いやだから、私が一番遅いって・・・お、置いてかないでよぉ!」

初期艦を怒らせると怖いのだ。思い知ったか。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:44:56.85 ID:vsxoik9eo
「作戦完了、艦隊が帰投しました。つ、疲れた~~~」

「何よ、旗艦がだらしないわね。6躯の子達を見なさい。即効で風呂に走ってったわ」

陸に足を付けると同時に夕張がへたり込む。
それにしても駆逐たちのあのはしゃぎよう、当分暁はお子様のままね。

「しょうがないじゃない、装備が重いんだもん、装備が」

「はいはい、アンタはさっき取ったデータの検証したいんでしょう。アイツへの報告は私がやっておいてあげるわ」

「ありがと~。もうギブ。ギブの大号令・・・」

もはや私をからかう元気も無いようなので、手を振って夕張と別れる。
好きなゲームの台詞を口走るあたり、まあまだ大丈夫だろう。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:47:35.01 ID:vsxoik9eo
この時間だと、まだアイツは執務室にいるだろう。
私たちが出撃から無事帰ったか分かるまでは、内心オロオロしながら書類に目を通しているに違いない。
初期艦の私と初めて任務をこなしたあの頃からちっとも変わっていない。

まあ、近頃はその内心を態度に出すことはなくなっただけ進歩していると言えなくもないか。
現に最近着任したばかりの艦娘の仲には「ここの司令官は落ち着きがあって格好いい」なんてコロっと騙される子もいる。

私の目からすれば、アイツが動揺を押し隠しているのなんて一目瞭然だけれど。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:49:08.43 ID:vsxoik9eo
ヘーイ、叢雲。出撃は終わりましたカー!?」
なんてことを考えながら歩いていると、後ろから陽気な声がかけられた。

「ええ、そっちは演習帰り?金剛。お疲れ様ね」
「ハイ、S勝利のMVPダヨー!後でテートクに褒めて貰うデース!」

相変わらずこの戦艦はテンションが高い。金剛は私ほどではないけれど、
アイツの指揮下に入った最初の戦艦で付き合いは長い。

「ワタシのburning love 、絶好調だヨー!これでテートクのハートも頂きネ」
「はいはい、相変わらず元気ねえ」

泊地のエースだというのに、この親しみやすさ。この底抜けに明るい金剛のことが私は好きだ。
・・・もちろんアイツもだろう。大規模な作戦では戦艦や正規空母が総旗艦となるものだが、
次のトラック泊地での旗艦もやはり、今までどおり金剛となるだろう。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:50:26.59 ID:vsxoik9eo
火力だけ見れば大和、威厳なら長門や加賀がふさわしいのだろう。でも。
私が、私や泊地のみんなの命を預けてもいいと一番に思えるのは、やはり金剛だろうと思う。

それはアイツと私が二人っきりで、初めての大規模作戦の艦隊編成を夜通し考えた頃からずっと、変わらない信頼だった。

「おっと、今回は皮算用じゃあないデスよー??」
「難しい言葉知ってるわね、帰国子女」

ふふふん、と得意げに鼻息を荒くする金剛。なんだか球磨に似てる。
「実はワタシ、今回の勝利で練度が98になったのデス!」

ついに来た。来てしまった、と思った。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:51:43.12 ID:vsxoik9eo
ケッコンカッコカリ。
大本営が巫山戯てつけた、ネーミングセンスの欠片もないその制度。
練度は通常、1から始まり最高99で打ち止めとなる。
練度99となった艦娘が提督から妖精さん開発の特殊な指輪を渡されると、そのキャップが開放されるのだ。

98までの練度は、戦場での戦果によって反映される。
すなわち、火力が高い戦艦等に極めて有利な制度で不公平だと私は思う。

・・・あくまで、正当な評価を下すためにだけど。
初期艦である私が真っ先に練度が上がらないから拗ねているわけではない、断じて。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:52:54.83 ID:vsxoik9eo
この制度がケッコンカッコカリと呼ばれる所以は、98から99への到達が難しいからだ。

練度98から99への上昇は、単なる敵の撃墜数では認められない。
旗艦としての艦隊指揮能力、秘書官としての鎮守府の運営能力、
遠征や演習などの実績、様々な要素が評価されるため単なる火力の優劣では上がらない。

加えて、最も重要なのが提督からの信頼である。
実績があっても提督から指輪を貰えなければ結局練度は99のまま、打ち止め。
提督の絶大な信頼を得、心の支えとなった証なのだ、レベルキャップ開放制度は。

それはもはや単なる上官と部下ではなく、伴侶と呼ぶに相応しい。
深海棲艦との戦いが終わったら、本当の夫婦になれるほどの心の繋がり。

だからこそ、この制度はケッコンカッコカリと呼ばれるのだ。馬鹿らしい。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:55:47.54 ID:vsxoik9eo
「おめでとう、でも先はまだ長いわよ?」


だから、私は金剛にそう言った。
少し声が震えていたかもしれないけど、祝福の言葉を口にすることが出来た。


だってまだ、金剛とアイツが本当にケッコンするわけではないのだから・・・『まだ』・・・?
そう意識して、私の胸がキュン、と悲鳴を上げた。


「oh,分かってマース。ケッコンはまだまだ待つことになると思いマス。
でもこれからガンガン頑張っちゃうヨー!叢雲もFlow me !ついてきて下さいネー!?」
「ま、せいぜい頑張りなさい。さしあたっては次のトラック泊地防衛作戦かしらね」


耐えられなくなる前に、私は話題を逸らした。それに精一杯だったので、
金剛のらしくない台詞に違和感は覚えなかった。
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:57:44.13 ID:vsxoik9eo
「イベントですねー。ファイトデース!」

「大規模作戦をイベントっていうのやめなさい。
大本営の奴らが、敵の襲ってこない内地で能天気に使う言葉なんだから」

「叢雲は手厳しいデース。もっと余裕を持たないと。そんなんじゃ額に小じわが付いちゃいマスヨー!?」

「艦齢はアンタより若いから、まだ大丈夫よ」

「ちょっと、それどう言う意味デスカー!?」


本当に、金剛との会話は楽しい。
アイツとのケッコンという、穏やかじゃない話を持ってこられてさえ。


明るく、頼りになって、しかも魅力的な女の子。
だからアイツが金剛とケッコンしたいと思っても当然かも知れない。

私の練度は87。駆逐艦では1番高いけど、戦艦や空母たちには練度90代が何人もいる。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 21:59:01.03 ID:vsxoik9eo
あれ、冬イベって中規模じゃん・・・今思い出したわ
まあ、普段と違う任務=大規模作戦ってことで
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:00:47.36 ID:vsxoik9eo
別に本当に結婚する訳じゃないし、申請すれば指輪なんて何個も手に入る。
だから、一番先にケッコンするのが初期艦(わたし)じゃなくても、全然気にすることじゃないのだ。


「そう言えば、叢雲。今年はどうするつもりデスカー?」


今度は金剛の方から話題を振ってきた。・・・今年は?
意味がわからないで首をかしげていると


「まさか、何も考えていなかったデスカ!?何してるデース!」

「いや、だから何がよ。さっぱり思い付かないんだけど」


金剛は信じられない、という表情で(というより、大げさな身振り手振りで)

「Happy-Valentine デース!みんなその話題で持ちきりデス!」

なんて言う。
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:02:19.71 ID:vsxoik9eo
ああ。と私は大した感慨もなくその言葉を受け止めた。
女の子がその、すすす、好きな男の子にチョコを贈る日。

去年は、泊地の艦娘一同ということで、わたしと金剛が代表してアイツに贈った。


別に私は、アイツのことを何とも思っちゃいないんだけど。そこは上司と部下。
何もないのも今後の仕事に差し障るかもしれないということで、仕方なくくれてやったのだ。


肝心のブツを渡すときにアイツが「叢雲が俺に!?」とありえない勘違いをしたので、
持っていたチョコを思わず投げつけてしまったのは消し去りたい過去だ。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:03:24.17 ID:vsxoik9eo
「2月14日よね。大規模作戦中かもしれないから、今年は中止だと思ってたけれど」


もちろん、我らが提督様が優秀な手腕を発揮なさればその前に終わるかもしれないが。


「だから、今回はみんな個人的に贈るのだと思いマース。
テートクもスミに置けないデース。もっと真ん中に置くべきデスね!」

「その日本語の使い方は多分間違っているわ、帰国子女・・・」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:04:49.97 ID:vsxoik9eo
「それにしても、個人的にって言うんじゃどうでも良いじゃない。
アイツも今年はチョコゼロだなんて、少し可愛そうだけれど」


作戦が終わった後、慰めてやっても良いかもしれない。
初期艦の誼で、あくまで初期艦の誼として、チョコをあげてやらないでも無いんじゃないか。


「少なくとも、何人かは用意しているみたいデスヨ?」
「え?」

背筋が冷たくなる。

「ですから、チョコを」
「誰に」

「テートクに、デス。結構人気ありマスよ、テートク」
「・・・・・・」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:05:55.56 ID:vsxoik9eo
言葉も出ない。まさか、誰がアイツなんかに!?

金剛は誰がアイツにチョコを渡すか知っている様子だったけれど、
それを聞くのはなんだか卑怯な気がして出来なかった。

それに、知ったからといって私がどうなる訳でもない。


「そういう訳で、叢雲も用意してみたらどうデスカー?」


なんて言って、彼女はティータイムへと出かけて行った。正直、うらめしい。
これからアイツに会うというのに、平静でいられなくなってしまうではないか。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:09:09.54 ID:vsxoik9eo
執務室に入ろうと扉の前に立つと、部屋の中から何人かの声が聞こえてきた。


「おかしいわね」


いつもこの時間は、アイツは秘書艦を置かずに一人でデスクワークに励んでいる。
だから、夕張たちを急かして帰投してきたのだ。


久々に二人で話を・・・も、もちろん次の大規模作戦の話だけど!
・・・をするつもりだったのだけど、あてが外れてしまった。


「作戦完了よ。艦隊が帰投したわ」

ひとまず、入室して艦隊の無事を伝える。これでアイツもホっとするだろう。

「おかえり、叢雲」


執務机に座ったアイツーーー提督は、腕を机について余裕ぶった笑顔を浮かべていた。
なるほど、良く知らない艦娘なら騙されてしまうかもしれない。

物静かで、余裕たっぷりな提督だと。本当は艦隊の無事に安堵しているくせに。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:10:12.41 ID:vsxoik9eo
「アンタ、この時間に珍しいじゃない。どうしたの?」

「ああ、彼女たちにも秘書艦の仕事を覚えてもらおうかな、と」


私はそこで執務机の横で直立している二人に目を向けた。


「やっと会えた、陽炎型駆逐艦、ネームシップの陽炎よ。よろしくね!」
「ちょっと陽炎。いきなりそれは失礼です」

「何よ、不知火は固いわね。さっき司令から楽にして良いって言われたばかりじゃない」
「陽炎は楽にし過ぎです。初期艦の先輩に対して楽にして良いとは言われていません」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:11:44.13 ID:vsxoik9eo
陽炎と不知火。最近着任したことを知らせる書類は秘書艦時に見ているが、実際会うのは初めてだ。
どうやら向こうは私のことを知っているらしい。


「ハハハ・・・」


提督が乾いた笑みを漏らす。私のことは十中八九、コイツから聞いわね・・・。

余計なことは話してないでしょうね、と睨みを入れつつ陽炎たちに向き直る。


「叢雲よ。初期艦でここの秘書艦をしているわ、楽にしてくれて構わないからよろしく」


ほら、と陽炎が得意げに、不知火が納得いかないという顔で挨拶を済ます。

しかし、不知火が礼儀を気にするのも当然なのだ。
初期艦や秘書艦はその鎮守府の発言力が強い。
着任したばかりの艦娘が睨まれるのは極力避けたいだろう。


・・・もちろん、不知火自身が生真面目な気性であるという可能性も多分にあるけれど。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:13:05.42 ID:vsxoik9eo
「ここは雰囲気が良いわね。上手くやっていけそうだわ」

と、陽炎。どうやらかなり社交的なタイプらしく、既に馴染んでいる。
駆逐艦版金剛といったところかな。反対に不知火は口数が少ないタイプみたいだわ。


「そうね、鎮守府のみんなが仲良くやっているわ。優秀な娘ばかりだし」

陽炎がイタズラっぽい目をして言う。

「おまけに提督は格好良いし、優秀そうだし、やる気がでてくるわ」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:14:16.58 ID:vsxoik9eo
・・・。
やはりコイツが艦娘の間で人気があるというのは事実なのだろうか。


格好良いかどうかは、その、個人の好みだから。
陽炎がコイツのことを格好良いと言うのは分かる。

いや、この場合の分かるっていうのはそういう意味じゃなくて。


「そうだろう、そうだろう。いやー、陽炎は話がわかる!」

そしてコイツはすぐ調子に乗る。少し締めてやらないと。

・・・何お世辞にデレデレしてるのよ。
そう、格好いいは別にして、優秀という判断を下すのはちょっと早いと思わせてやらねばなるまい。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:15:17.55 ID:vsxoik9eo
「ふうん、それでアンタは二人に何を教えて上げてたのよ」
「え」


私に水を向けられて、提督の笑顔が固まる。


「主に心構えです。資材の管理などの」
「あ、不知火・・・」

不知火が生真面目に答える。提督の笑顔が曇ったのには気づかなかったみたいだ。
少し杓子定規なところがあるかもしれないが、今はナイスプレイ。

陽炎は何かを感じ取ったのか、私は関係ありませんよと手を上げている。賢い。
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:16:18.41 ID:vsxoik9eo
「へえ、資材の管理ね」

「はい、必要な時に必要な量がなければ話にならないと。
ですから日頃から緻密な遠征スケジュールを立て、節約し管理していらっしゃるとお話されました。
提督自ら資材管理まで気を配られるとは流石だと、不知火感服いたしました」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 22:17:22.21 ID:vsxoik9eo
提督が天を仰いでいるのを横目に私はひと呼吸おいて、話し出す。


「去年のある鎮守府の話なんだけどね、そこに着任してきた提督はまだ若い新米提督。
右も左もわからない中,初期艦のレクチャーを受けながら、鎮守府を運営しようとしていました」

「ああ、ある鎮守府ね、うん」
「どこの鎮守府でしょうか」


陽炎のひきつった微苦笑と不知火の無表情。
スポンサーリンク
arrow_upward
arrow_upward